駿河台経済新聞

神田駿河台から発信する経済・ビジネス・社会情報

課題書・論文紹介‼️(part2)

お疲れ様です!!

昨日食べたご飯を覚えてますか?

私は忘れました。でも、前期にやったことは覚えてますよ😇

 

前期に学んだ課題書・論文紹介part 2です✌️

 

The 経済・統計系の課題書やサイトの紹介です!

 

目次

 

【人口と日本経済】

              著:吉川洋

人口減少が問題視されている日本経済は、果たして衰退の一途を辿るのか。

衰退しないためには、どのような改革を進めていくべきであるのか。

歴史を参考に、これからの日本がどのような改革を進めていくべきなのかが記されています。

また、マルサスの「人口論」など、様々な経済学者の思想についても触れられています。

本書では、「発展には改革を止めないこと」と述べられていました。これは事業者だけでなく、私たちも心に留めておくべき内容だと感じました。

 

 

【景気の回復が感じられないのはなぜか】

        著:ローレンス・サマーズ 他

金融危機以降、なかなか景気が回復しないアメリカ経済に対して、元財務長官サマーズは「長期停滞論」を唱えました。それに対し、元FRB議長バーナンキが反論する、掛け合い形式の論争がまとめられています。

実は、この議論は専門的な論文のみで行われたのではなく、ブログなど一般の人にも十分理解出来る形で展開されていたのです。

また、この長期停滞論争はアメリカローカルな議論に留まりませんでした。世界が直面していた問題に対しても正面から考えられています。特に、日本は長期停滞の代表的な国としても挙げられています。

アベノミクスなどの経済政策を考える上で、重要な考え方が得られる1冊でした。

 

【データ分析の力】

             著:伊藤公一朗

世界は技術が進歩し、ビッグデータに象徴されるように、大量のデータが得られる時代になりました。これによって、私たちにはその大量のデータを正しく分析する力が求められています。

しかし、「因果関係」と「相関関係」を混同して使われていることが非常に多く、正しいデータ分析がされていない現状があるのです。

この本は、正しいデータ分析をするための最も基本となる「因果関係」について、具体例を用いて分かりやすく解説されています。

また、「因果関係」を導く手法についても幾つか解説されており、データ分析における基礎知識を学ぶことができます!

この本は、データ分析の入門書という位置づけなので、専門的な難しい言葉や数式は出てきません。データ分析って面白いなと思える本なので是非読んでみてください!

 

【ウソを見破る統計学

                著:神永正博

統計学の先生が大学で経済学を学んでいる娘に教えるという設定で書かれた本です。

「平均年収に潜むワナ」や「実家暮らしと一人暮らしで恋人のできやすさに違いがあるか」など身近な事例を基に、その裏で統計学の知識がどのように使われているのかが分かりやすく書かれています。

具体的な統計方法や分析方法というより、分析を行う目的やデータを扱う上でのポイントに重きを置いて書かれているので、なぜこれを行うのか、何に注意すべきかが明確で分かりやすいです。

また、絵やグラフ、表が多いためイメージしやすく、各章の最後にまとめもあるので何をしていたのかが整理しやすい構成となっています。

会話形式で進んでいくので読みやすく、教科書のような堅い文章に抵抗感がある方にも読みやすいおすすめの一冊です。

【産業連関表】

これは産業連関表の見方、使い方を紹介しています。

産業連関表は、ある一定地域(日本、千葉県など)の、特定の1年間行われた産業相互間及び産業と消費者等との経済取引を一望のもとに収めた統計表です。域内経済の将来予測に用いたり、大型プロジェクトの経済波及効果測定に活用したりと応用範囲の広いものなのです。

ここ数年、産業連関表に対する関心は高まっていますが、実際の利活用では分析手法が難解という印象があり、十分に使いこなされていないのが現状です。

本書では産業連関表の初歩的な考え方から実践の方法まで、簡単な表やイラストを用いて優しく解説おり、非常に分かりやすい内容となっておりました。

https://www.pref.chiba.lg.jp/toukei/toukeidata/sangyou/h17/documents/nyumon_all.pdf

 

【世界基準の経営理論】前半部分

              著:入山章栄

この本は1冊で経営学を網羅できるような本となっています。

この本の特徴として、各章において、各学問における理論を徹底的に読者に解説し、経営学におきかえたらどのようになるのかを説明していきます。

そして、現実世界ではどうなっているのかを、実際に起きた例を用いて説明していく、という本になっています。

特にこの本の前半部分では、どのような経済学の理論を用いれば、いかに効率よく経営することができるのか、について読者に説明していきます。

経営学の理論の根本の1つとなっている経済学の理論について述べられています。

理論と聞くと、難しく感じるように聞こえるかもしれませんが、具体例を出してくれるので、分かりやすく体系的に理論を理解することができます。

そして、理解できた経済学の理論を経営学に置き換えた場合、経営にどのような影響をもたらすのか。

最後に、経営学にまで発展した理論を現実に用いれば、企業の経営にどのような効果をもたらすのか、あるいは、効率よく企業を経営することができるのかについて述べられています。

経済学と経営学の両者を学習できる、という一石二鳥のような本となっています。

気になった方は是非読んでみてください!

 

世界標準の経営理論

世界標準の経営理論

 

 

難しいと感じる本もありますが、ゼミ生同士で内容を確認しあったり、先生に教えていただいたりして、理解を深めています👨‍🎓👩‍🎓

 

まだpart 3もあるので楽しみにしていてください!

 

8期 課題書・論文紹介‼️(part 1)

こんにちは!飯田泰之ゼミナールです!

最近はすっかり寒くなってきました、体調管理には気を付けたいですね🏃🏃🏻‍♀️🏃‍♂️

 

それでは、私たち飯田ゼミが

前期に学んだ本や論文の紹介をしていきたいと思います!!👏👏

 

今回は、地域経済・フィールド系の本について紹介します!

 目次

 

【熱海の奇跡】

                                               著:市来広一郎

皆さんは熱海と聞くと、人気観光地!と思い浮かべるかもしれません。しかし、以前まで熱海は衰退した観光地の代名詞となっていました。

そんな熱海がなぜ再生できたのか⁉️

この本は熱海を愛し、再生を主導してきた筆者の実体験から書かれており、行政やその補助金に頼らないフレキシブルで新しい地域再生の方法が紹介されています。

読んでいるだけでワクワクして思わず熱海に行きたくなるような内容でした!

 

【東京郊外の生存競争が始まった】

               著:三浦展

現代は住みたい街を選ぶ時代であり、郊外においてもその魅力が問われています。

本書では、県別・性別・年収別・雇用形態といった指標ごとに住みたい街ランキングを掲載し、それぞれの特徴を分析しています。

また、郊外の再生に必要な事として、交通や子育ての便利さに加え、仕事帰りにフラッと立ち寄る居酒屋などの夜の娯楽の重要性を筆者は取り上げていました。

自分の住む周辺地域の特徴や、今後郊外が生き残っていくためにはどうすればよいのかが分かる1冊でした!

 

【本当に住んで幸せな街】

                        著:島原万丈+HOME'S総研

「住みよさランキング」などの従来の街を評価する尺度は利便性や教育環境、公共施設の多さなどです。

しかし、ライフスタイルや価値観が多様化した現在、官能(センシュアス)という新しい評価基準で都市を再評価しようという本です。

この官能(センシュアス)とは、五感で味わうという意味です。その都市で何をしたのか、何を感じたのかが重要な指標なのだと著者は述べています。

「良い都市」とは何なのか考える上での基盤が身につきました。この本を読めば、新たな視点で都市を見ることができますよ!

 

【これからの地域再生

                                                飯田泰之 編

私たちのボスである飯田先生を含めた7人の著者が、地方の抱える問題についてさまざまな角度から提言している本となっています。

ただ「地域再生」とひと口に言っても、考え方やアプローチの仕方は1つではないのです。

都市圏と地方の違いを「本社機能」としたり、センシュアスシティ、ナイトタイムエコノミー、地方の特産物を活かす。といった地域再生のための考え方を幅広く学べる内容です。

地域再生について一緒に考えてみましょう!

これからの地域再生 (犀の教室)

これからの地域再生 (犀の教室)

  • 発売日: 2017/06/16
  • メディア: 単行本
 

 

【クリエイティブ都市論】

          著:リチャード・フロリダ

本書では「住むところをどこにするか」というのは、「人生の伴侶を誰にするか」、「どんな仕事に就くか」、と並ぶ人生最大の三つの選択の一つと述べています。

人は大人になり働き始めると転勤などで自分の意図しないところに移住する人が多いです。しかし、住むところは自分の伴侶を決めることに決定的な役割を果たし、自分の所得や人間関係、幸福感、つまりは人生そのものに極めて大きな影響を与えると言うのです。

また、人が集まる魅力的な都市と、人が流出して衰退していく都市にはどのような違いがあるのかが語られています。その1つに、住民の幸福度が高い都市は、全て共通して「多様性を受け入れる場所」だと述べています。

世界中が多様化している今、独自の文化も大切にしながら他も理解し受け入れることが、地域や都市レベルでも重要だというのはおもしろいですよね。

 

【競わない地方創生】

                       著:久繁哲之介

競わない地方創生ってどうゆうことだ?って思いますよね。不思議なタイトルに引き込まれ、読んでみるとタイトルの意味に納得するんです!

簡単に言うと、地方創生が必要な活気が無い都市や廃れた都市を再生するには、その都市独自の強みを持とう!という話なのです。独自の強み=比べられる対象がない=競う相手がいないという事になります。

1つ例を紹介します。割烹旅館ますがた荘です。もともとこの旅館は「料理の質」で勝負していたのですが、売上は伸びず…。

しかし、あるお客さんの一言をきっかけに、人気が急速に伸び、売上が向上したのです。

それは…実は、ここの旅館は白鳥が見られるという大きなメリットを持っていました。旅館のスタッフにとってはそれが当たり前で、お客さんに言われて初めてその希少価値に気づいたのです😂

そこで、「料理の質」ではなく、「白鳥が見れる旅館」としてますがた荘をPRしたところ、とても人気が出たのです。「料理の質」だと競う相手は日本中に沢山存在します。一方で「白鳥の宿」で勝負することで、日本にはそもそも白鳥が旅館から見られる所なんて限られていますから競わない勝負軸を手に入れることができたのです。

「競わない地方創生」の意味が何となくイメージできたでしょうか?

これは地方創生だけでなく、自己分析や経営にも使える話かも!?と思いました。興味のある方は1度読んでみて下さい!

 

競わない地方創生 ―人口急減の真実―

競わない地方創生 ―人口急減の真実―

  • 作者:久繁 哲之介
  • 発売日: 2016/02/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

気になる本があったら、是非読んでみてください!!必ず学びにつながりますよ〜😆

駿河台経済新聞、再開します!!

こんにちは!飯田ゼミナール8期です!

駿河台キャンパスでの対面ゼミが始まり、1ヶ月程が過ぎました。
みんなと同じ教室でゼミ活動をするのはとても楽しいです😊

さて、本題です!
長いことお休みしていた駿河台経済新聞が再開することとなりました📰✍️
今後、飯田ゼミの様子や取り組みを続々と投稿していきます!

コロナ禍で駿河台での活動が出来なかったため、勝手ながらお休みさせていただいておりました。😴
⚠︎決してサボっていた訳ではありません!!

まずは、前期に取り扱った課題書・論文の紹介をしていきたいと思います!
ちなみに、前期に取り扱った課題書・論文の数は25冊を超えています🤑

また、この駿河台経済新聞以外にTwitterInstagramでも飯田ゼミの情報をご覧になれます。要チェックや〜🤩

  • HP

https://iidasemi.wixsite.com/iidasemi

明治大学 飯田泰之ゼミナール (@y_iidasemi) | Twitter

https://www.instagram.com/y_iidasemi/

後期に扱った本・論文の紹介 ②

こんにちは!
先週に引き続き、今週も後期で扱った本や論文についてご紹介していきます!

【本】(今週は地域系です!)

1.『家族の幸せの経済学』山口 慎太郎 著
現代では結婚や子育てなど様々なテーマについて数多くの議論がされています。「子供には母親の母乳が1番!」「3歳までは母親がつきっきりで子育てすべき」など、多くのことが言われていますが、その中にはエビデンスを無視した思い込みが多いのも確か。そんな結婚・子育ての悩みを、経済的観点から分析する、新しい価値観を提供してくれる本でした!

2.『年収は住むところで決まる』エンリコ・モレッティ
「いい仕事」とはどこにあり、そしてそれはなぜ特定のエリアに集結するのか。アメリカでの振興都市と、人口流出や失業率の上昇に悩める都市を比較し、その要因を分析しています。これから就職活動を控える私たちにとって、非常に興味深い内容でした!

年収は「住むところ」で決まる  雇用とイノベーションの都市経済学

年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学

  • 作者:エンリコ・モレッティ
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 2014/04/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

3.『行動経済学の使い方』大竹 文雄 著
この本は「ナッジ」にフォーカスしています!ナッジとは、人間の行動特性をふまえ、自由な選択を確保しつつ、より良い意思決定をうながし、より良い行動を引き出す。その知恵と工夫のことを言います!多くの実証研究に基づいて論理が展開されていて、説得力があり、学生でもサクサク読める本でした!

行動経済学の使い方 (岩波新書)

行動経済学の使い方 (岩波新書)

4.『都市は人類最高の発明である』エドワード・グレイザー 著
人類の進歩について都市が果たしてきた役割を分析します。「都市は人が行き交い、様々なコミュニケーションのなかで刺激しあい、新たなイノベーションを生み出す原動力になる」など、都市の重要性について述べられています!

都市は人類最高の発明である

都市は人類最高の発明である

5.『都市の原理』ジェイン・ジェイコブス
都市の成長や衰退はどのようにして起こるのか。その原理を都市と農業の関係や、「輸出」「輸入」それぞれの観点から分析しています!都市成長のメカニズムについて学べる興味深い内容でした!

都市の原理 (1971年)

都市の原理 (1971年)


【論文】
1.『出生率の決定要因』足立 泰美、中里 透
https://www.jcer.or.jp/jcer_download_log.php?post_id=53805&file_post_id=53802
出生率の決定要因を、都道府県別データを利用して分析した論文です。女性の賃金率や就業率が上昇は、出生率にどのような影響をもたらしているのかが検証されており、その結果も面白いものでした!

2.『人口高齢化と公教育費の変遷』宮錦 三樹、木村 真樹
https://www.jcer.or.jp/jcer_download_log.php?post_id=53774&file_post_id=49200
高齢化が急速に進む日本において、現在は全ての都道府県で高齢者の人口が子供の人口を上回っているそうです!高齢者の人口割合が多いと、若者の教育に充てられるお金が減るのではないかと研究しています!

3.『教育意識の基礎的パネルデータ分析』藤原 翔
https://csrda.iss.u-tokyo.ac.jp/panel/dp/PanelDP_092Fujihara.pdf
高学歴志向、学校外教育投資志向、学歴社会観の3つの教育意識について、その変動要因を明らかにする論文です。個人の出身背景や、収入、結婚、子供の有無など、様々な要因について分析しています!

4.『学歴間の賃金格差は拡大しているのか』何芳、小林 徹
https://www.pdrc.keio.ac.jp/uploads/DP2015-002.pdf
大卒・高卒間の違いに着目し、賃金格差が拡大してるかを検討している論文になります。賃金格差だけでなく、就業形態・就業率にも着目し、パネルデータを用いてその変化を分析しています!

5.『バブル経済期前後における雇用増加率の地域間格差に関する産業連関分析』是友 修二、阿部 宏史、新家 誠憲
https://www.jstage.jst.go.jp/article/srs/39/3/39_3_709/_pdf/-char/ja
日本の中心産業は、1990年を境に製造業からサービス業に変化しました。論文ではその中で雇用増加率の地域間格差が拡大したことに着目し、産業別の雇用増加率に対する各地域の寄与度の変化とその要因を時系列で分析しています。

本日で3年後期の授業は終了となります!
お疲れ様でした!!
4年生の卒論発表が楽しみですね!!

後期に扱った本・論文の紹介

新年あけましておめでとうございます!
2020年も飯田ゼミナールをよろしくお願いします。
いよいよオリンピックイヤーに突入で、とてもワクワクしています!今後、夏に向けての盛り上がりが楽しみです!

さて今年1発目のブログでは、後期のゼミで扱った統計系の本3冊と論文3本をご紹介します!

まずは本の紹介です。

1.『 実証分析のための計量経済学』 山本 勲 著
計量経済学を用いて分析を行うにあたって、必要な知識や手法を学べる本。理解に時間がかかったり手法が難解であるような単元も、実際の論文が実例として記載されており、卒論にこれから取り組んでいくうえで非常に参考になりました。

実証分析のための計量経済学

実証分析のための計量経済学

2.『人工知能と経済』 山本 勲 著
現在「人工知能(AI)」という言葉が、新聞や報道番組で毎日のように聞かれるようになりました。この本では、経済学の多様なフィールド(マクロ経済、労働、教育、金融、交通、生産性)が取り上げられ、AIが今後普及するにつれどのような影響があるのか、過去から最新の技術進歩エピソードや研究動向を整理し、様々な知見をもとに、今後の技術進歩の社会経済に与える影響や留意点が述べられています。今まで何となくの理解であった「人工知能」をより深く学ぶことができました!

人工知能と経済

人工知能と経済

3.『実証分析入門 データから「因果関係」を読み解く作法』森田 果 著
実証分析を基礎から発展的なところまで学ぶことができる1冊。数式だらけではなくユニークな具体例を用いての解説など非常に読みやすく、実証分析の導入の学習に役立ちました。卒論の際にも参考にしたいと思います。

実証分析入門  データから「因果関係」を読み解く作法

実証分析入門 データから「因果関係」を読み解く作法

次に論文の紹介です。

1.『パネル調査から見る働き方、生活時間、世代間支援』
—「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査(JLPS)2017」の結果から—
石田浩 藤原翔 白川俊之 石田賢示
東京大学社会科学研究所
https://csrda.iss.u-tokyo.ac.jp/panel/dp/PanelDP_105.pdf

卒論を書く前に、実際の経済学分野の論文を授業内で扱いました。この論文では、JLPSデータを用いて働き方やライフスタイルに関する調査を行っていました。長時間労働メンタルヘルスに影響を与えるか、正社員としての就業希望を実現した人とそうでない人の違い等、勤労についての分析を男女別に行っており、手法だけでなくその内容も非常に参考になりました。

2『高校新卒者の進学行動と最低賃金』 北條 雅一
https://www.jcer.or.jp/jcer_download_log.php?post_id=53805&file_post_id=53796

海外では、最低賃金が上昇すれば、進学率が下がるという負の影響が多数報告されています。この論文では、日本の地域別最低賃金の上昇が、高校新卒者の進学行動にどのような影響を与えるのか、という分析が行われていました。個別データではなく、都道府県データを用いている点が前述の論文との違いです。普段私たちは「進学」と聞くと「大学に行くか、行かないか」という選択を思い浮かべますが、この論文では、短大・専門学校・大学進学・就職という複数の観点で考察されており、その結果も面白いものでした。

3.『居住地域における所得状況が生活満足度に与える影響』 水落 正明
https://www.jcer.or.jp/jcer_download_log.php?post_id=53818&file_post_id=53814

この論文では、居住地域における所得状況が生活満足度に与える影響について分析が行われていました。絶対的な所得額だけでなく、居住地域の基準所得も分析に加味していて、非常に現実的な分析が行われていました。また、データには三重県の五市のデータが用いられていました。したがって、この論文から小地域における所得状況とそれが生活満足度に与える影響について知ることができます。生活満足度を扱うテーマは卒論でもよく取り上げられるため、そのお手本として参考になりました。

4.『何歳で結婚すると離婚しにくいのか』 佐藤 一磨
https://www.pdrc.keio.ac.jp/uploads/DP2017-011_jp.pdf

現在日本では晩婚化が進んでおり、初期年齢の変化と少子化との関係について様々な分析がなされています。この論文は、初期年齢と離婚にどのような関係があるのかを分析した珍しい研究となっています。分析の結果、ある歳を境にして離婚確率が変わることが分かりました。ほかにも学歴別の初婚年齢と離婚関係も分析されていて、大変興味深いものでした。

5.『経済のサービス化と雇用創出の地域間格差 産業連関表に基づく分析』阿部 宏司 パク・サンチュル 永禮 拓也
https://www.jstage.jst.go.jp/article/srs/35/1/35_1_17/_pdf/-char/ja

東京圏では第三次産業への移行が著しく、現在8割近くがサービス業と言われています。この論文では、サービス化の中で雇用創出に見られる地域間格差の動向を、夏合宿でも扱った産業連関表を用いて分析している論文です。分析結果から成長格差が顕著な部門や成長寄与度の東京圏と地方圏との部門の違いが見え、格差是正の課題解決の手法の1つが明らかになりました。