駿河台経済新聞

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生物学的な女性の強さ:『できそこないの男たち』(福岡伸一)

できそこないの男たち (光文社新書)

できそこないの男たち (光文社新書)

 

本書は最初に顕微鏡を作り出したレーウェンフック、性決定の遺伝メカニズム、染色体についての仕組みなど、生物学的な歴史について紹介したのち、本題の男という生物がどう生まれたかについて語られている。

 すべての生物は本来メスを基本形として発生し、その変形としてオスが存在すると筆者は述べている。そしてオス(人間でいう男)はメス(つまり女)より生物学的に弱いということを様々な方法で証明、紹介している。

 

本書は生物学について特別な知識を持っていない私が読んでも非常に読みやすかった。各結果についても、その過程やそれについてのエピソードを交えて丁寧に説明しているので、中学の生物の知識さえあれば疑問なく理解できると思う。

 現在、男が社会的に優位に立っているが、生物学的にはどうやら女性のほうがたくましいということに驚いた。本書の中で、男はただ遺伝子の使い走りとしての用途、基本形を助けるためだけの特別な環境下でのみ存在を許されるという筆者の極論じみた結論もとても面白かった。

 

文系の人も楽しめると思うので是非おすすめしたい。