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駿河台経済新聞

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昭和の粋を知る:『男の作法』(池波正太郎)

書評

男の作法 (新潮文庫)

男の作法 (新潮文庫)

本書は歴史小説家として名高い著者が、題名通り男の作法についてインタビュー形式で語った内容を書き下ろしたエッセイである。

「てんぷら屋に行くときは腹をすかして行って、親の敵にでも会ったように揚げるそばからかぶりつくようにして食べていかなきゃ」

「万年筆だけは、いくら高級なものを持っていてもいい。……そりゃあ万年筆というのは、男が外へ出て持っている場合は、それは男の武器だからねえ。刀のようなものだからねえ、……だから、それに金をはり込むということは一番立派なことだよね。貧乏侍でいても腰の大小はできるだけいいものを差しているという ことと同じですよ」

これは本文のほんの一部だが、酒、ネクタイ、プレゼントや結婚までそのテーマは多岐にわたっており、読むに連れて「粋な男・池波正太郎」の哲学が染みこんでくる。本書の基となったインタビューが行われたのが昭和五十五年ということで、その内容の端々に時代の違いを感じさせる。しかし、それらを超えて根幹的な「格好良い大人」の姿を教えてくれるのが本書の素晴らしい点である。
 加えて、元々がインタビューと言うことで、非常に軽い語り口で読みやすい文章であることも特徴の一つと言えるだろう。テーマに関しても、ひとつあたり1~4ページ程度で70もの話題を語っているため、スラスラ読めることに加えて色々なテーマについて「作法」を知ることが出来るだろう。

男の作法と書いてあるが、現代女性にとっても非常に参考になる内容であることは間違いない。現代を生きる大人、そして格好良い大人になりたい皆さんに是非オススメしたい一冊である。