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駿河台経済新聞

神田駿河台から発信する経済・ビジネス・社会情報

ナショナリズムとは:『民族とネイション-ナショナリズムという難問』(塩川伸明)

書評

 

民族とネイション―ナショナリズムという難問 (岩波新書)

民族とネイション―ナショナリズムという難問 (岩波新書)

 

 

 「ナショナリズム」という言葉は排外主義やヘイトスピーチなどと結びつけられてネガティブな意味で用いられることが多い。しかし、頻繁に用いられる「民族」、「エスニシティ」、「ネイション」、「ナショナリズム」という言葉は、その意味や相互関係が曖昧なため混乱を招いている。

 本書では1章でまず、これらの言葉の整理・定義を行い、2章~4章では民族、エスニシティ、ネイション、ナショナリズムがどのように関連し合っているのかの分析を通じて、ナショナリズムの誕生から世界的な広がり、様々な種類のナショナリズムなどについて考察されている。そして、5章では「よいナショナリズム」と「悪いナショナリズム」という区別は可能なのか、ナショナリズムを飼いならすことは可能なのかということにまで議論が及ぶ。

 

 本書では複雑かつ混乱している「民族」、「エスニシティ」、「ネイション」、「ナショナリズム」という概念について歴史的考察と理論的考察を通じて整理されており、「ナショナリズム」とは何なのかについてよくまとめられている。「ナショナリズム」が絡む問題について理解する上で、入門的な知識を得ることができまた、どう「ナショナリズム」に向き合っていくのかについて考える際の一助になる一冊となっている。