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駿河台経済新聞

神田駿河台から発信する経済・ビジネス・社会情報

【就活本紹介】『日本で働くのは本当に損なのか』『広告のやりかたで就活をやってみた』『若者と労働「入社」の仕組みから解きほぐす』『キャリアデザイン入門[Ⅰ]基礎力編』『雇用の常識「本当に見えるウソ」』

就活 書評

就活本紹介記事第5弾です。

 

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【就活本紹介】『面接では嘘をつけ』 『親は知らない就活の鉄則』

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【就活本紹介】 『就活の法則 適職探しと会社選びの10ヵ条』 『大二病 「評価」から逃げる若者たち』

【就活本紹介】 『採用基準』『スタンフォードの自分を変える教室 』『面接ではウソをつけ』

 

 

『日本で働くのは本当に損なのか』

駿河台経済新聞の評価:★★★★★

日本で働くのは本当に損なのか (PHPビジネス新書)

日本で働くのは本当に損なのか (PHPビジネス新書)

 

 

 なぜ、日本企業は日本型と呼ばれる人材マネジメント手法を続けているのだろうか?

 日本人の働き方の「公理」は、「仕事ではなく、人で給与が決まる」ことと、「誰もが幹部候補であり、原則出世していく」ことの二つである。日本では、本来「能力主義」であり、欧米は「職務主義」である。

 日本型であると、給与は連続性を保つことが出来るため、人員調整が容易になり、社内の人的コネクションも保ったままでいられる。個人としても、異動による社内再チャレンジで、一番適性のある部署に配置されていく。一方、欧州では、転職は容易だが、職務チェンジが難しい。主領域では幅広い知識を持ち、かつ、関連部門で複眼やコネを培うのが日本型雇用である。

 

 「世界の常識」では、実力を認められた一部の人が昇進できるのであって、圧倒的多数は一生ひらのままで昇進できない。これはエリートに関しては猛烈に早く成長させる仕組みになっている。それに対して、「茹でガエル」とも呼ばれる日本型人事は、全体をゆっくり鍛えて、全体パフォーマンスとしてそれなりのレベルを維持する仕組みである。日本人が忘れている欧米観に「エリート・ノンエリート主義」がある。これは日本人が均一な一層の社会で、基本的には、「全員が幹部候補生」という仕組みの中で生きているからである。

 

 日本型システムの利点は、学部・選考に縛られた不自由な登用ではなく、適材適所が可能となるような人材を生かせる仕組み、社内再チャレンジにより、人材の適材適所が確保されやすい仕組み、人間性という「OS」にこだわる採用を行い、あとは社内で適所を見つけるという考え方がある。欧米では、昇給昇格機会を失った人にはワークバランスを充実させるという飴が残されている。日本と欧米のどちらの仕組みが良いかという問題ではなく、どちらにも一長一短なのだ。日本は「日本型」を外れてしまった人に対しては日本型滅私奉公とは異なるコースを用意するべきである。

 

 

『広告のやりかたで就活をやってみた』

駿河台経済新聞の評価:★★★☆☆

広告のやりかたで就活をやってみた

広告のやりかたで就活をやってみた

 

 

 就活は広告と同じである。この本では、「私」という「商品」を「志望企業」という「ターゲット」に選んでもらうための20個のツボが紹介されている。広告を通じて就活を知ることによって、就活の世界で「送り手」側である私達が「受け手」側の視点を獲得することができる。就活を「自分の広告」だと思うことで、自然と「受け手の視点」が意識され、「伝わるコミュニケーション」をすることができるのだ。本の中ではユニクロカップヌードル資生堂といった実際に世の中に出ている広告が例として取り上げられており、飽きることなく読み進めることができる。

 

 私がこの本を読んで1番印象的だったのは、就活のゴールは「内定」ではないということだ。この本では、広告(=就活)のゴールは「ポジション、居場所をつくること」だと説明している。

『ポジションがなければ、あなたはいつか会社に居づらくなります。会社もきっと、すぐにあなたの代わりをみつけるでしょう。』

 目先の内定に向けて短絡的なアピールをすればするほど、企業にとって単なる手段になるという内容にとても納得することができた。この後、本文では自分だけの価値を探すために自己分析を始めよう、という内容になるのだが、なぜこれをやらなければいけないのかということを自分自身で納得しながら作業を進められるのもこの本の長所だと感じた。

 

 この本を読んで1番に感じたことは「読みやすい」だった。フォントや1ページの文字数、イラストの使い方など、営業として、プランナーとして、広告をつくっている筆者だからこそレイアウトできた1冊だと思う。20個のツボが紹介されているというと少し多いように感じるが、その1つ1つは5〜7ページ程ずつと短く、さらっと読むことができる。その上20個のツボは「就活はじめるぞ」と意気込んでいる段階から選考までを幅広くカバーしており、普段あまり本を読まないけれど就活について意識を高めたい!という人にオススメの1冊である。

 

 

『若者と労働「入社」の仕組みから解きほぐす』

 駿河台経済新聞の評価:★★★★☆

 本書は欧米をジョブ型社会、日本をコミュニティ型社会とし二つを比較しながら、雇用の形体を解きほぐしている。ジョブ型社会では、一つ一つの職業について、その職業を遂行する知識、経験、能力を兼ね備えた人が選ばれ、それに対する職業別の賃金が決まっている。一方コミュニティ型社会では人を仕事に当てはめる形式をとっており、スキルや経験に関係なく人間性などが評価の対象になる傾向にあり、入社以降順に仕事内容が変化せずとも昇給していくといった形で対比されている。

 このようになった経緯を交えつつ、雇用システムや教育システムの改善を勧めながら、ジョブ型社会を推進し、現在の若者の雇用改善のために漸進戦略としての限定正社員の必要性を説いている。

 

 

『キャリアデザイン入門[Ⅰ]基礎力編』

 駿河台経済新聞の評価:★★★★★

キャリアデザイン入門〈1〉基礎力編 (日経文庫)

キャリアデザイン入門〈1〉基礎力編 (日経文庫)

 

  著者は、キャリアには2種類あると言う。履歴書などに書く実際の職業は何かと言う客観的キャリアと、自分の仕事について、どんなイメージを持っているかと言う主観的なキャリアである。

 さらに、主観的キャリアは、能力・才能、動機・欲求、意味・価値と言う3種類の自己イメージから出来ており、これら自己イメージについて内省しつつ、行動することで主観的キャリアを確立することが、キャリアデザインのスタートと位置付けている。

 ただ、キャリアの実際に関して言えば、仕事や人との偶然の出会いの影響が大きいため、その様な機会を作る力、活かす力、職業上の能力が主観的キャリア(職業的自己イメージ)と合わさることで、客観的キャリアが生み出されていくと論を進めて行く。

 つまり、キャリアデザインとは、キャリアに対する自己イメージをデザインする、また職業上必要な能力をデザインすると言う両面を通じて、実際のキャリアを自分のアイデンティティと照らして納得のいくよう創造していくこと、だと言う。

 キャリアデザインには、段階に応じて、筏下りの時期、山登りの時期と言う2ステップがあり、それらは能力面から見るとそれぞれ、全ての仕事に共通する基礎力を身につける時期、自分の仕事に必要な専門力を身につける時期に当たる。

 

 筏下りの際に身につける基礎力とは、対人能力、対自己能力、対課題能力を中心として処理力、思考力を加えたものであり、これを適切な段階で身につけることによりキャリアの成功が実現する。またどの仕事においても必要なものである。

 そしてある時期に専門分野を一つに腹ぎめして、その選んだ専門を極める山登りの時期に入る。

 

 要するにキャリアをデザインするといっても、選択や意思決定をするのは、はじめての職業を選ぶ就職活動の時期と、この筏下りと山登りの切り替える時期などの一時期のことであり、キャリアデザインこ行為は能力を高めることに費やされるのである。

 

 キャリアを自分が何をしたいかをはっきりして自ら行動を起こすことだ、考えることは間違っていないが、何をしたらいいのか途方にくれるだろう。しかしキャリアの問題を能力を高める行動の問題と捉えれば視界が晴れた状態で前に進むことができるのではないか。

 

 

『雇用の常識「本当に見えるウソ」』

  駿河台経済新聞の評価:★★★★☆

雇用の常識「本当に見えるウソ」

雇用の常識「本当に見えるウソ」

 

 新聞やテレビから、私達は様々なニュースを耳にする。労働、雇用問題についても例外ではない。「終身雇用の崩壊」「転職を繰り返す若者」「女性管理職の増加」など、何度も耳にした言葉ではないだろうか。

 

 マスにより積み上げられていったフレーズは、いつしか私達の中で常識として定着していく。本書はそんな労働、雇用の常識に対し、具体的な統計データを用いて検証していく一冊である。読み進めるほどに私達にとっての常識がいかに根拠のないものであったか、なぜ虚構の常識がつくりあげられていたのかハッとさせられる。

 

一つ例を挙げるならば、

ワーキングプアは増加しており、500万人にも上る」

が、うち主婦と学生が400万人を占めており、4人世帯の世帯主の割合は7万人に過ぎない。

といった調子である。

 ただし、本書はこれだけでは終わらない。これらの常識を斬った末に、現在の日本の雇用問題をどう考え、どう解決していけばいいのか。最終章で筆者は2つの提言を行っている。

雇用のガラパゴス化からの脱却と、世界戦略としての移民受け入れである。

雇用、労働といった身近なトピックを題材に、正確な統計データを元に語ることの重要性をもう一度見直すことの出来る一冊である。