駿河台経済新聞

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卒論紹介:早期離職とキャリア教育について

こんにちは

今回のブログを担当します、神谷です。

 

今回は、私が執筆した卒業論文の要約をお伝えしたいと思います。

研究テーマは「早期離職とキャリア教育」です。

 

以下、ざっくりと要点だけ説明いたします。

 

①問題意識

 ・「新卒者の早期離職率(就職後三年以内に離職する割合)は、中卒で64.8%、高卒で39.6%、大卒で32.4%である」という事実を知って大変驚いたので、「なぜ離職するのか」を調べてみたいと思った。

 ・厚生労働省の調査によると、「仕事が自分に合わないから離職した」と答えた離職者が最も多かった。これは「最終学歴が高卒」の者では特に多かった。また、厚生労働省の別の調査では、「求職者(35歳以下)は、正社員に比べ学校教育において就業に関する教育を求めている」こともわかった。

 ・以上のことから「教育内容が離職に影響しているのでは?」と考えた。

 

②分析

 ・そこでさっそく離職と今まで受けてきた教育内容の関係を調べてみた。個人のデータでは分析ができなかったので都道府県単位で分析を行ってみた。すると「中学生のときに実施する職場体験の実施日数が多い都道府県ほど、高校卒業後一年目の離職率が低い」ことがわかった。

 

③考察

 ・早期離職は、企業にとっては採用費用・OJT費用の無駄であるし、離職者にとっても仕事を行うスキルの取得効率が悪くなるので、経済全体に悪影響を与えていると考えられる。

 ・よって中学生に対する職場体験の実施日数を増加させて離職率を引き下げることが望ましいと思った。

 ・でも企業は「職場体験受け入れには負担がかかる」と言っている。この負担を取り除けば職場体験の実施日数を増加させることができて、離職率が減少しそうだなと思った。

 

 

すっごくざっくりですが、こんな感じです。

つまり、まとめると、

 

 

経済に悪影響を与えるであろう「早期離職」は、中学校にて参加する「職場体験」の実施日数を増やすことで引き下げることができるので、受け入れ企業への負担も考慮しつつ、職場体験実施日数を増やして行くべきだ。

 

ということになります。

 

反省点としては、個人のデータを使用できなかったため地域移動を考慮できなかった点と、最終学歴が高卒の者の分析しか行えなかった点ですかね。

 

というわけで、今回のブログは終わります。

参考文献は以下に乗っけておきます。

 

失礼します。

 

参考文献・資料

・Becker(1976)『人的資本‐教育を中心とした理論的・経験的分析』東洋経済新報社

国立教育政策研究所(2014)「高等学校政策全般の検証に基づく高等学校に関する総合的研究」(2014年7月28日閲覧)

 http://www.nier.go.jp/05_kenkyu_seika/seika_digest_h25.html

野村総合研究所(2012)「平成24年 若年者のキャリア教育、マッチング、キャリア・アップに係る調査実態」(内閣府委託調査)

・太田聰一(2010)『若年者就業の経済学』日本経済新聞出版社

・日本経済研究センター(2011)「3年以内の早期離職率3割の衝撃:学生、企業双方に多大なコスト」(2014年7月20日閲覧)

 http://www.jcer.or.jp/report/econ100/pdf/econ100bangai20110715.pdf

・長島伸太郎(2007)「新規大卒三年以内離職率が企業利益に与える影響に関する研究」東京工業大学 大学院社会理工学研究科・工学部 社会工学専攻・社会工学科 学位論文便概集2008 No,39(2014年7月21日閲覧)

 http://www.soc.titech.ac.jp/info/cat13/detail_54.html

厚生労働省(2009)「平成21年若年者雇用実態調査」(2014年7月13日閲覧)

 http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/young/h21/kojin.html

厚生労働省(2003)「若年者キャリア支援研究会報告書」(2014年7月20日閲覧)

 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/09/h0919-5e.html

厚生労働省(2008)「平成20年版労働経済の分析」(2014年7月30日閲覧)

 http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/08/dl/02_0002.pdf

 

 

人的資本―教育を中心とした理論的・経験的分析

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若年者就業の経済学

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