駿河台経済新聞

神田駿河台から発信する経済・ビジネス・社会情報

後期に扱った本・論文の紹介 ②

こんにちは!
先週に引き続き、今週も後期で扱った本や論文についてご紹介していきます!

【本】(今週は地域系です!)

1.『家族の幸せの経済学』山口 慎太郎 著
現代では結婚や子育てなど様々なテーマについて数多くの議論がされています。「子供には母親の母乳が1番!」「3歳までは母親がつきっきりで子育てすべき」など、多くのことが言われていますが、その中にはエビデンスを無視した思い込みが多いのも確か。そんな結婚・子育ての悩みを、経済的観点から分析する、新しい価値観を提供してくれる本でした!

2.『年収は住むところで決まる』エンリコ・モレッティ
「いい仕事」とはどこにあり、そしてそれはなぜ特定のエリアに集結するのか。アメリカでの振興都市と、人口流出や失業率の上昇に悩める都市を比較し、その要因を分析しています。これから就職活動を控える私たちにとって、非常に興味深い内容でした!

年収は「住むところ」で決まる  雇用とイノベーションの都市経済学

年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学

  • 作者:エンリコ・モレッティ
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 2014/04/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

3.『行動経済学の使い方』大竹 文雄 著
この本は「ナッジ」にフォーカスしています!ナッジとは、人間の行動特性をふまえ、自由な選択を確保しつつ、より良い意思決定をうながし、より良い行動を引き出す。その知恵と工夫のことを言います!多くの実証研究に基づいて論理が展開されていて、説得力があり、学生でもサクサク読める本でした!

行動経済学の使い方 (岩波新書)

行動経済学の使い方 (岩波新書)

4.『都市は人類最高の発明である』エドワード・グレイザー 著
人類の進歩について都市が果たしてきた役割を分析します。「都市は人が行き交い、様々なコミュニケーションのなかで刺激しあい、新たなイノベーションを生み出す原動力になる」など、都市の重要性について述べられています!

都市は人類最高の発明である

都市は人類最高の発明である

5.『都市の原理』ジェイン・ジェイコブス
都市の成長や衰退はどのようにして起こるのか。その原理を都市と農業の関係や、「輸出」「輸入」それぞれの観点から分析しています!都市成長のメカニズムについて学べる興味深い内容でした!

都市の原理 (1971年)

都市の原理 (1971年)


【論文】
1.『出生率の決定要因』足立 泰美、中里 透
https://www.jcer.or.jp/jcer_download_log.php?post_id=53805&file_post_id=53802
出生率の決定要因を、都道府県別データを利用して分析した論文です。女性の賃金率や就業率が上昇は、出生率にどのような影響をもたらしているのかが検証されており、その結果も面白いものでした!

2.『人口高齢化と公教育費の変遷』宮錦 三樹、木村 真樹
https://www.jcer.or.jp/jcer_download_log.php?post_id=53774&file_post_id=49200
高齢化が急速に進む日本において、現在は全ての都道府県で高齢者の人口が子供の人口を上回っているそうです!高齢者の人口割合が多いと、若者の教育に充てられるお金が減るのではないかと研究しています!

3.『教育意識の基礎的パネルデータ分析』藤原 翔
https://csrda.iss.u-tokyo.ac.jp/panel/dp/PanelDP_092Fujihara.pdf
高学歴志向、学校外教育投資志向、学歴社会観の3つの教育意識について、その変動要因を明らかにする論文です。個人の出身背景や、収入、結婚、子供の有無など、様々な要因について分析しています!

4.『学歴間の賃金格差は拡大しているのか』何芳、小林 徹
https://www.pdrc.keio.ac.jp/uploads/DP2015-002.pdf
大卒・高卒間の違いに着目し、賃金格差が拡大してるかを検討している論文になります。賃金格差だけでなく、就業形態・就業率にも着目し、パネルデータを用いてその変化を分析しています!

5.『バブル経済期前後における雇用増加率の地域間格差に関する産業連関分析』是友 修二、阿部 宏史、新家 誠憲
https://www.jstage.jst.go.jp/article/srs/39/3/39_3_709/_pdf/-char/ja
日本の中心産業は、1990年を境に製造業からサービス業に変化しました。論文ではその中で雇用増加率の地域間格差が拡大したことに着目し、産業別の雇用増加率に対する各地域の寄与度の変化とその要因を時系列で分析しています。

本日で3年後期の授業は終了となります!
お疲れ様でした!!
4年生の卒論発表が楽しみですね!!